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研究・論文

木の家は心と体に気持ち良い!

木の家は心と体に気持ち良い!
・木の香りで免疫力はアップする。
迅速なワクチン接種の効果もあり、コロナ感染の勢いは段々と治まり、私たちの生活も徐々に日常を取り戻しつつあります。経口薬も開発が進んでいるようなので、このまま収束に持ち込みたいところですが、専門家の話では、まだまだ気を抜けない・・・のだとか。
今回は、このところ何かと話題になる免疫力についての考察です。木の香りを嗅ぐと免疫力がアップする・・・と言うような話をお聞きになったことはございませんか?これまではっきりしなかった、木の香りの人体の免疫系への働きかけが少しずつ明らかになりつつあるようです。
免疫細胞のひとつとしてナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれる細胞があります。東京都内で働く30~60歳代の男性を対象とした研究で、桧の香りの成分である精油が、このNK細胞の活性を上昇させた可能性があるとの報告があります。
  • 出典/Int.Immunopathol.Pharmacol.22,951-959(2009)
    • 桧材精油を揮発させた室内に3日間宿泊滞在した前後のNK細胞の活性の変化を調べたところ、滞在前に比較して滞在後に有意に上昇していました(左図)。また、滞在の前後で、ストレス指標である尿中ノルアドレナリンは有意に低下していました(右図)。ストレスが軽減し、そのことがNK細胞の活性の上昇につながったのではないかと考えられています。
      これからは、風邪の予防などに木材の香りが活かせるようになるかもしれませんね。

      ・木の家は、湿度調整が上手。
      人間は温度と湿度の関係で「暑い」「寒い」を感じています。室温が低くても適度の湿度があれば暖かく感じたり、高くとも湿度しだいで快適に過ごせたりします。グラフの網掛け部分は、平均的に多くの人が快適と感じるゾーンです。おおよそ40%~70%の湿度状態が適度な湿気の環境と言えるでしょうか。
      30%を下回るとウィルスの繁殖が盛んになり、70%を上回るとカビやダニが発生し易くなります。その間の40~70%程度の範囲に湿度が保たれていると、粘膜を保護し健やかな生活に貢献してくれます。機械で湿気を制御することも出来ますが、自然素材と無垢の木で、まずは家自体に基礎的な調湿性能を備えましょう。
      たとえば、10,5㎝角の桧の柱は多湿時にビール大瓶2.5本分ほどの水分を含み、その内0,5本分ぐらいは室内の状況に応じて放出したり吸い込んだりして、湿度を平衡に保とうとします。木の家には柱だけでも数十本、梁はもっとたくさんの量(体積)が使われますから、室内環境に貢献できるような使い方をすれば、効果のほどは私たちの想像以上です。木の他にも、紙や珪藻土などの調湿機能をもつ素材は充分な量を使っていればグラフの快適ゾーン内の状態に湿度を調整しようとします。
      実は、湿度を調整する素材の効果は、私たちが日常的に体験してすでに知っていることでもあります。例えばスポーツをする時、ナイロンやポリエステルの服を着ているのと、綿などの服を着ているのでは快適さは雲泥の差。おにぎりやお弁当も、プラスティックの容器に入れておくのと、木の折り箱などの容器に入れたのではべっとり感が全然ちがいます。
      室内のコンディションをエアコンや除湿機・加湿器などで機械制御することは可能ですが、まずは住まい自体に調湿性能を持たせることで住まい心地は大きく変わります。天然素材と無垢の木の家は、自然な調湿で人の体に優しい環境を整えてくれます。

      ・木材で造る内装は人をなごませる。
      近頃は軒や庇などのあまりない、四角くい白や黒の無機質な外観や室内の建物が多く見られるようになりました。今回は、木材で造る内装が人の心拍などの生理面にどんな影響を与えるのか、少し探ってみたいと思います。
      最近では、内装面に占める木材比率(木材率)が自律神経系の整理応答や快適感などに影響を及ぼすことが明らかになりつつあります。広さや調度品を同じにして、木材率の違う部屋において血圧・心拍などを測定した実験では、木材率45%の部屋では心拍数が有意に増加し、木材率が90%の部屋では血圧が有意に低下しました。しかし、木材率が0%の部屋では生理応答に変化は見られませんでした。又、天井や壁を一面に白く仕上げた部屋と比べて、柱や梁を見えるように使った部屋では木材の視覚刺激で心拍数が増加することも確認されています。そのことから、内装に木材を加えると人に覚醒効果があることも確認できました。
      出典/高橋徹ほか編「木材学講座5環境(第2版)」より
      別の木材率と心理的効果の調査では、木材率の増加と共に「あたたかい」あるいは「自然な」という印象が上昇することが確認されています。表は、木材率の違う室内写真を見せてその印象をアンケートしたものです。その結果、木材率の増加が「自然な」というイメージの増加につながっていることが分かります。
      人は木質内装の「自然な」という視覚的イメージから「あたたかい」や「友好的」や「明るい」「静か」「快適」などの好ましい印象を受け取っているのだと思われています。

      ・木の触りごこちは人にどんな影響を与えるか?
      これまで、木の香りが人の睡眠や免疫に好影響を与えることや、木が視覚的に人を和ませる効果があることなどを科学的にみてきましたが、今回は触り心地が人に与える影響について考えてみたいと思います。
      木は顕微鏡レベルでみると、中空のパイプ状の組織が並列に配列したハニカム構造を持っていて、このことが木材特有の接触感(触りごこち)を生み出しているようです。
      木への接触は生理的ストレスを生じさせにくい、という報告があります。血圧はストレスがかかると上昇することが知られています。木やほかの材料への接触が血圧に及ぼす影響について調べた研究では、木はほかの材料に比べたところ、生理的なストレス状態を生じさせにくい・・・とする研究結果が得られています。

      出典/最新データによる木材・木造住宅のQ&A (木構造振興株式会社)
      アルミニウム、アクリルなどの人工物へ人が接触したとき、材料が室温の時にも血圧は上昇し、材料温度が高温、あるいは低温の時、血圧上昇はさらに大きくなりますが、木への接触においては室温での血圧上昇は小さく、低温でも血圧上昇をもたらしませんでした。
      木の性質は人が直接触れるような用途、例えば床板や手すり、鍋の柄などに適していると言えます。
      木は人に優しい、とっても不思議な特性を持った建築材料であると言えるでしょう。

      ・内装の木質化は、知的生産性を向上させる。
      以前に、桧の香りで睡眠の質が良くなる・・・という実験のお話しをさせていただきました。桧の香りで交感神経の活性度が下がり、人はリラックスした状態となり、睡眠の質が良くなる・・・ということでしたが、今回は、内装の木質化で睡眠の質と共に知的生産性も向上する・・・というお話しです。
      被験者は20歳代の男性。分析サンプル数は10人です。モデル住宅で夕食、入浴後の夜間から翌朝における8時間の睡眠状態を測定し、翌日別の部屋でオフィス業務の疑似体験(タイピング作業)を実施して、作業成績を評価するという実験です。

      出典/日本建築学会関東支部研究報告書より
      内装の木質化率によって深睡眠時間が変わる傾向が確認できます。木質化率0%の部屋と比較して、45%の部屋と100%の部屋では深睡眠時間が有意に長くなる傾向となりました。また、木質化率の異なる部屋での睡眠の後、日中の知的生産性が変わる傾向も確認されます。木質化率0%のケースと比較して45%のケースと100%のケースではタイピングの作業成績が有意に高い傾向です。
      この実験から、木質化率の高い部屋での睡眠は深睡眠が得られやすく、後の知的生産性も向上することが確認できます。ただし、睡眠の質の場合と同じ様に、木質化率45%の部屋と100%の部屋の間で大きな違いが見られなかったことから、睡眠の質の向上も知的生産性の向上も、木質化率45%以上あれば確保できるという事になります。
      無機質な部屋で過ごすより、たくさんの木に囲まれて、豊かな暮らしをしてみませんか?