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府中の家 小屋伏図。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 小屋伏図。

小屋伏図は屋根面を構成する構造材の配置・樹種・寸法などを示す図面。梁(梁伏図)のさらに上部の木組みのことです。この図面にはタルキや野地板の詳細まで描き込みます。
府中の家では、高さが120ミリのタルキを使って1.5間を飛ばし、その空間に120ミリ厚の断熱材を仕込みたいと思っています。タルキ上の野地板は杉板を斜めに張って、力を分担できる耐震面を造ります。斜め張りは真横に真っ直ぐ張る野地板に対して約1.6倍の強さを発揮します。構造上は壁のみで外力を負担するより、屋根面にも耐力を負担できる部分があるのは非常に大事なことです。
野地板の上には通気層。屋根面は暖まりやすいので、屋根面の通気層は非常に通気効果の高い通気層になります。この部分の空気の動きで、外壁面の通気層の空気を動かし、外壁内の湿気を吸い出す仕掛けです。
外部の軒先には、木の家と意識しやすいようにタルキを化粧で見せていくつもりですが、部屋内では断熱・通気・調湿などの性能を優先して化粧の天井をタルキ下に張り上げます。天井面(屋根面)は断熱材を上下2枚の杉板で挟んだ形になりますので、断熱性能・調湿性能の高い仕様だと言えるでしょう。
府中の家 梁伏図。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 梁伏図。

梁伏図は柱と梁の組み方や部材の仕様・寸法などを示すための図面です。この図面が私的には計画していて一番楽しい。どの梁をどのように組んでどのように見せる、どの柱を見せてどの柱を隠す。そうするためにはどんな工夫が必要なのか・・・木の家のデザインに直結する項目を、あれやこれやと考えながら決めていくのは設計者冥利に尽きるというものです。
府中の家では内部に見える梁・柱・タルキなどの類をすくなくし、古民家風から少し離れてスッキリとまとめたいと思います。あまりスッキリしすぎると木の家らしさがそこなわれてしまいがちですから、そこの加減が難しい。もちろん真っ直ぐの天井は造りません。屋根勾配を利用して、あるところはロフトとして、あるところは空間の広がりとして利用します。
ロフトは天井高が1,400ミリ以下と決められていますから、構造材の組み方を工夫して、高すぎず低すぎずの頃合いのところを探らねばなりません。そうするとここのところがこうなってああなって・・・構造材だけでなく、化粧材も含めた建物を構成する全ての部材のあり方が粗方この時点できまり、各部のデザインも固まっていきます。
府中の家 床伏図。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 床伏図。

床伏図は床下の土台や大引きなどについて示す図面です。
基本、土台は桧の正角(正方形の材料)大引きは杉の正角で造ります。基礎廻りで気になるのはシロアリについてのこと。シロアリは水がなければ生きられず、土がなければ巣が出来ないので、人間にも影響があるような防虫剤は使わず、徹底的な床下通風と芯持ちの国産材(龍神材)で対応します。住宅金融公庫の決め事でも、芯持ちの国産材は防虫処理した外国産材と同等の防虫効果が認められています。使う薬は木酢液程度。
床下通風を思い切り取ると心配になるのは断熱のこと。そこで、Jパネル(国産の杉3層パネル)を土台・大引きの上に直に下張りして、断熱・気密の性能を高めます。断熱材はその上に30ミリと40ミリの床用断熱材を2重に敷き込んで対応します。断熱材スペースは設備の配管スペースも兼ねますので、外部から防虫網を通して見えることになる床下は、想像するよりスッキリと整理できるだろうと思っています。
 
府中の家 基礎伏図。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 基礎伏図。

基礎は阪神大震災以来、考え方や取り組みが特に大きく変わってきたところです。これまでは外周部に給気のガラリ(400×200程度のもの)が付いていましたし、内部の人通口は、どこか1ヶ所から床下に潜ると隅々まで行き来が出来るようになっていました。もちろん鉄筋も少なめでしたし、スラブ(土間床)もそんなに大事にされてきませんでした。
これらの基礎が軒並み破壊されてしまったために、このところの基礎は、地中梁と見なされる外周部に給気口のような開口部がなくなりましたし、スラブもベタ基礎と言って床全体に配筋されてしっかりと造られています。メリットは全体にしっかりとすること、デメリットは床にいくつかの点検口が必要なこと、全体に高額になったことなど。
今回の基礎はそこからさらに進化させて、地中梁と見なされる基礎立ち上がりをスラブ下で構成し、立ち上がりの開口を自由にし、床下の通風を思い切り確保して、木材の腐食を抑制すると共に後のメンテの容易な基礎としました。万が一の洪水などの場合にも、床下に入った水はスムーズに排出されるので安心で手間いらずです。
府中の家 構造を考える。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 構造を考える。

平面や立面・断面のプランが決まり外観なども整え終えたら、建物に与える強さや外皮性能(断熱性能)の設定を行います。これでこの建物のだいたいの性格が固まりましたので、いよいよ実施設計のための構造計画を考えます。
基礎・床下・梁・小屋などのそれぞれを伏図の形でスケッチしていくのです。これは建物を成立させるための基本中の基本の作業ではありますが、この時点で基礎の考え方や梁組の構成、ひいては建物そのもののデザインまでを決めてしまう大変大切な作業でもあります。
最近の設計者は、プランが仕事、基礎は構造屋さんの仕事で、木組みなどはプレカット屋さんの仕事・・・と思っている方もいるようですが、私はこれには賛成できない。むしろ、基礎や梁組などの詳細を考えることこそが設計者の仕事で木の家を造っていくときの醍醐味であり、やりがいであると思っています。
中にも外にも木が見えない木造の建物があふれる昨今、木組みの楽しみや面白さが忘れられていくのはさみしいことです。
府中の家 外皮性能を設定する。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 外皮性能を設定する。

府中の家の外皮性能(断熱性能)の設定が出来ました。省エネの時代にあってはとても大切な住宅性能です。
目指したのは、外皮平均熱貫流率・冷房時の平均日射熱取得率共に最高の等級4。それぞれに基準値が0.87のところ0.60、2.8のところ1.7と優秀な数字で達成できています。
ちなみに、達成した数字は青森や秋田・岩手などの結構寒い東北の沿岸部でも等級4を満たせる数字です。和歌山では充分以上の断熱性能だと言えるでしょう。
熱損失が大きいからと、小さな窓を少しだけ取って、陽当たりも風の通りも悪い部屋で、かえってエアコン稼働率を高めてしまうような本末転倒の数字面だ良い省エネ住宅ではなくて、紀伊半島の気候風土に合わせて大きな開口部を取り、充分な風の通りや陽当たりを確保した上でこの優秀な数字を達成出来たということには大きな意味があると思います。
 
府中の家 構造性能を設定する Ⅱ。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 構造性能を設定する Ⅱ。

建築基準法上の壁量安全率以外に、長期優良住宅などでも求められる性能表示上の強さ設定も同時に行います。耐震等級3・耐風等級2というのは現在設定されている規定の中で最も上級の等級です。ちなみに、この等級は長期優良住宅の認定にも採用されている等級です。
建築基準法と違うのは、建築基準法が壁の強さのみを判定するのに対して、性能表示の基準では床や屋根の強さと共に柱と梁、梁と梁の接合部の強さまで総合的に判定されることです。
表中、床倍率判定表も性能表示壁量判定表も判定欄にOKの文字が並んでいますので、この建物には耐震等級3・耐風等級2の強さが確保できている・・・ということです。
建物の強さは木造や鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの基本構造の違いによって決まってくるものではありません。あくまで、それぞれの構造において、決められた基準強さに対してどれほどの余裕を持っているか・・・によって決まるのです。木造建築物も設計時の強さ設定によって充分強く安心な建物が造れることを理解いただきたいと思います。
府中の家 構造性能を設定する Ⅰ。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 構造性能を設定する Ⅰ。

平面と立面(外観イメージ)が固まってきましたので、各部の詳細図に入る前に、この建物に与える構造上の強さの設定をします。
表の上のカッコ内の数字に注目して下さい。もちろん、準備計算や図面は他にいっぱいあるのですが、その中から特に大切なものを抜粋して表にし、建築基準法上の建物強さについて解説します。
上の表2行目の壁量安全率というのは、必要な壁量に対して、どのくらいの耐震壁量が確保されているかという数字。ちなみに、1.00が基準法上で建築可能となる数字。1.20は数十年に一度の地震・台風に耐えられるでしょうという数字。1.50は数百年に一度の地震・台風に耐えられるでしょうという数字。XもYも(縦方向も横方向も)1.50をはるかに超えて、2.55、3.41という数字ですから、建てても良いよ・・・という数字からすると2.5倍を超えて丈夫な建物に設定したことになります。
偏心率は強さの片寄のこと、壁心率は壁量の片寄のこと。つまり、この建物は強い耐震・耐風壁がバランス良く配置されていて、安心感の高い建物である・・・ということ。
府中の家 外観を考える Part5。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 外観を考える Part5。

元々、東や南側には大きな開口部(窓)が付くことも多く、見た目に変化があって楽しげな外観になることが多いのですが、西や北側は西日を遮ったり北風を防いだりするのに開口部が小さくなり、見栄えも単調になりがちです。
府中の家も例に漏れず、やはりこの傾向があって、東・南に掃き出しの大開口、西・北は最低限の開口面積です。ただし、LDKの大きな空間には風の通り道をしっかりと計画したいので、西側の壁にも大きな掃き出し窓を設けました。この部分が、道からの目線に直接さらされすぎて少し気になっていました。そこで、目線を隠すのと単調な外観に変化を付けるために、境界付近に2メートルほどの高さの目隠し壁を設けることにしました。小さな事ですが、これで少し気になっていたことが楽になった気がします。
もうひとつ、玄関先の駐車場を兼ねていた大きな庇(屋根)・・・これほんとうに必要なんだろうか・・・と思い始めて。大きな庇を無くして、木製フレームにアルミの庇を差し込んだとても簡素なアプローチ庇を計画してみました。屋根形状が全体にスッキリとして、もちろん工事費は節約できます。必要とあらば、後にアルミのカーポートでも・・・こちらの方が合理的かも。
府中の家 外観を考える Part4。
府中の家(モデルハウス)

府中の家 外観を考える Part4。

建物に駐車場を取り込んだ大きな玄関庇(屋根)は残したままに。梁組の工夫で個室のロフト(2ヶ所)は屋根の下に取り込み、ラクダのコブのような越し屋根を無くして、大屋根を最大限に単純化したプランです。
これまでの計画の中では最も大屋根形状が単純です。右下のパースを見ていただければ、平面形状に凸凹があっても、棟が南北に1本通った一枚屋根になっているのが確認できるでしょう。見方によっては、平屋らしくなった・・・とも言えるかもしれません。
一部には、南東の角で屋根を折り曲げてしまったので、なんだか和風に感じる・・・と言う意見もあります。しかし、やっぱり気になるのが雨仕舞いと工事費です。こうすれば、少なくとも梁組や屋根葺きにかかる費用は、これまでのプランの中では一番リーズナブルに仕上げることが出来ます。
ここまで来て、気になってきたのが西側の外観です。屋根をあまり単純にしすぎたために、西側から見ると全体に倉庫のように見えないか・・・と言うところです。さて、解決策は。