木の家の建築家中村伸吾の建築設計事務所では和歌山の紀州材や自然素材を活かし無垢の材料で木造住宅を造っています。外断熱通気工法・土塗り壁・杉厚板の家などおまかせください
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アプローチから外観を望む
玄関廻りの外観は出来るだけ再生前の面影を残すように心がけた。外壁は焼き杉板張り、屋根はガルバリウム鋼板段葺き。

再生前外観
再生前は瓦屋根。開口部はすでにアルミサッシに替えられていた。

 

 

 

 

玄関よりホールを見る
既存の軸組を生かし、新しい性能を付加して現在住宅としてよみがえらせる。再生の仕事は価値がないと思われているものの中に大いなる価値を見いだす仕事。 上がり框、式台共に桧の耳付き。

          

「もったいない」という言葉に込められた思いは、日本が世界に発信する誇るべき日本の文化である。しかし、住まいの現場ではこの思いが生かされているとは言えない。日本の住宅の平均耐用年数は27年ほど、消費大国と呼ばれるアメリカでさえ44年、イギリスに至っては70年を超える。世界に比べて異常に寿命が短いのが日本の住宅の現状だ。CO2の固定という観点から見ても好ましくない。50年かけて育てた木を27年で燃やしていたのではCO2は増えるばかりだ。50年かけて育てた木を、家として50年以上使ってはじめてCO2の固定は出来る。

  


土台廻り
この時代の建物には基礎がない。束石の上に直接柱が立ち上がるほったての構造。悪いところだけ手直しして基本構造は受け継ぐ。

根継ぎ細工
腐った柱の下部は取り替える。伝統の根継ぎ細工。

                                  解体風景
構造材のみを残した裸の状態。使えるものは最大限残して、取り替えるものを決定する。



地廻り
現代の生活に合わせて、全体の高さを1尺(30cm)ほど持ち上げた。既存の梁の上に新しい地廻り。

断熱の様子
古民家再生でいちばん気をつけるのは断熱・気密の性能。今回は通気層の下端に羊毛断熱を充填。

塗り壁補修
土塗り壁は出来るだけ残して補修。仕上げ材は珪藻土。

          

この家の住まい手はご相談をいただいた当初から再生をご希望された。築100年の住み慣れた家の基本を生かして床の段差、使い勝手、暑さ・寒さ、安全性などを改善したいということだ。特に補強を心がけたのは断熱と気密の性能。「住宅は夏を旨とすべし」の精神で出来ている古民家は、涼しくはあるが暖かくはない。間仕切りの少ない風通しの良い間取りを生かして、家全体をすっぽりと杉皮や羊毛の断熱材で包み込み、床暖房を採用して暖かくて温度差の少ない室内環境の創出を目指した。

  


改修前の玄関ホール
改修前は土間。応接のような使い方をされていたようだ。

木製手摺り
大きな空間で困るのは手摺り。この住まいでは小黒柱を利用してその廻り4方にかいふ丸太を取り付けた。

 

 

玄関ホールと取り次ぎの間
天井板をはずして力強い小屋の丸太組をそのまま意匠に使う。閉鎖感がなくなり、空気の流れも良くなる。仕上げは床板に唐松エンコウ板、壁は珪藻土、天井は杉板張り。

  


取り次ぎの間から食堂を見る
右手前が玄関、左手前に寝室、左奧は水廻り、右奧は離れにつながる。この空間はこの住まいの中心に位置する。

           

100年の歳月は容赦なく住まいのあちこちを蝕んでいる。柱や梁などの基本骨格部分にさえ使用不能のヶ所はおよんでいる。手直しは家全体を見直すことから始まった。技術的に解決出来る問題の他にも古民家を再生する場合にはどうしても納得いただかなければならない事柄もある。一つは地震や台風などの力に対処する方法が違うことだ。現代の多くの建物は外からの力にしっかりと抵抗する壊れにくい構造だが、古民家はそれらの力を受け流すように出来ている。つまり、多少傾いたりすることで力を吸収し、結果的に人命を守る・・という構造なのだ。二つめは、本格的な再生は新築するほどの費用が必要になるということだ。

  


改修前の台所

キッチンセット
キッチンセットは木製で現場制作。きれいにしまい込むことより実用の使いやすさを重視した。

 

 

 

 

               

              

                   食堂
居室はすべて可動間仕切りによる段差のないワンルームになる。天井と小壁は取り払って広々と暮らす。小屋丸太などはそのまま再使用。補修部分は新しい木の色のまま。土塗り壁はなるだけ残して蓄熱・調湿体の確保。

  


水廻り
水廻りは一部増築した。使い勝手最優先で細かな間仕切りは付けなかった。床仕上げは唐松、壁は杉板と珪藻土、天井は杉板張り。

改修前のタタミ間
タタミ間
この部屋には天井がある。住まい慣れた旧家とあまり大きな変化がないように・・と住まい手のたってのご希望。

  

古民家の再生は古くなって価値が無くなったと思われている物に大いなる価値を見いだす仕事だが、障害を乗り越えて見事によみがえった住まいの放つ存在感と、住宅としての快適な諸性能は、再生という大仕事に取り組む意義と価値を再確認させるのに充分なものだった。

  

台所よりタタミ間を見る
開放的で風通しの良い大空間。食堂の照明器具は杉板とダウンライトにて制作。
 
寝室より食堂・台所を見る
100年を超す年月を生きた古材の存在感は新しい物では出せない。しかし、古いものに埋もれさせていたのではその良さは見いだしにくい。新材と古材のコントラストがそれぞれの良さを引き出し、緊張感のある空間を作る。

「目の前にあるまだ使えるものを使うのは当然のことだ」という住まい手の言葉がとても印象深く心に残っている。住まい造りにかかわるものとして「住み継ぐ意志」に応えられたことのうれしさと、その素材を残してくれた先人に感謝している。


 
建物名 / 稲成町 古民家の改修
所在 / 田辺市稲成町
構造規模 / 木造 平屋建
主要用途 / 専用住宅
竣工 / 平成19年9月
延床面積 / 72.86u(22.04坪)
改修部分 / 55.74u(16.86坪)
増築部分 / 17.12u(   5.18坪)
特記事項 / 竹小舞土塗り壁、床暖房、外断熱通気工法
      
 
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