木の家の建築家中村伸吾の建築設計事務所では和歌山の紀州材や自然素材を活かし無垢の材料で木造住宅を造っています。外断熱通気工法・土塗り壁・杉厚板の家などおまかせください
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外観
後ろの2階部分が主な生活スペース。前の離れとは中庭・デッキを通じてつながる。屋根はガルバリウム鋼板瓦棒葺き。壁の黒い部分は焼き杉板張り。

模型写真
着色部は基本グリッド部分をしめす。
 

はじめに
和歌山県の中央部、田辺市と南紀白浜の境界線近く。海まで2q、山まで3qの住宅地の中に敷地はある。東側に幅員5mの前面道路を有し、北東に向かってゆっくりと下り勾配のある72坪程の敷地である。住まい手は40台後半のご夫婦と高校生の二人の子供、それにおじいちゃん。ご家族からはのびのびと暮らせること、おじいちゃんの部屋は静かにゆっくりできること、気持ちのいいお風呂があること、そして住まい心地の良い「木の家」であることの条件が出された。結果、中央のデッキを囲むように配置されたコの字型の平面を持つ、紀州材を用いた木造民家型、延べ床面積約53坪の住まいが出来上がった。今回は構造を中心にした解説をしようと思う。

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台所から居間を見渡す厨房仕事の時の奥さんの視線。


居間から台所方向を見る
南東方向に大きな開口と吹き抜けを持つ大空間。上下に長い空間は室内空気の自然循環に役立つ。最上部にはランマ窓。中央部にはシーリングファン。

     

「木の家」づくりはシステム作りから
奈良県の吉野と地続の紀州では、同じ地層の山々から、目込みで粘り強く、色目の良い杉、桧の良材が産出される。紀州材は吉野材ほどの密植・長伐期としない代わりに、銘木を取る習慣がないことで、1番玉から建築用材として利用する強みを持つ。5年前、この紀州材の活用を通じて地域の産業振興を計ろうと、地元商工会議所のフォーマットの上に「木の国の家推進委員会」が結成された。

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玄関アプローチ
敷地の高低差を利用して階段を付け、奥行きのあるアプローチを計画。
玄関扉
玄関扉は桧にて制作。透明硝子を通して中庭を見せる、こうすることで知覚できる空間が拡がる。

屋上デッキより中庭を見る
この住まいは2階と平屋の繋ぎ部分(玄関上部)にもデッキを持つ。見晴らしも良く、布団干しに重宝すると評判は上々。

上部庇はアルミにて制作。

浴室
住まい手こだわりの桧のお風呂。内張の板も総桧。窓は坪庭に向かって全面開口になる。植え込みが育ってくればもう一段快適になる予定・・・。

今回の建物に取り組んだのは木国家(kiguniya)という「木の国の家推進委員会」の施工部門を担当している仲間である。このグループは林業家、製材業者、建築家、工務店の各職種から集った6人で出来ている。木材の乾燥、部材の標準化、職人の習熟、コストダウン、業種を横断した研修等・・供給者が「木の家」を造っていく流れの上でまとまってこそ良質のものが出来る。

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居間・和室を見る
玄関ホールから入ったところに居間がある、奥にはたたみ間、中心に7寸角の大黒柱。壁・天井が土佐和紙貼り。床は唐松エンコウ板張り。
居間から台所方向を見る
すぐ外は木製デッキ、左側はたたみ間、階段の奥には脱衣とお風呂。

基本架構はグリッドで考える
鉄骨造の建物で、柱や梁のことを考慮に入れないでプランニングに取りかかることはない。プランニングが進んでいくということは、同時に架構計画も進んでいくことを意味する。プランニングが決定した時には柱位置や、梁構造までの全体構想がまとまっていなければならない。在来木造は鉄骨造と同じ構造ではないが、この原則に則っていなければつじつまが合わない。忠実に基本架構をグリッドにて構成する。そうすることが建物の構造安定性を飛躍的に高めることを古来の民家が歴史で証明している。

山での玉切りは紀州では3m・4m・6mとなることが多い。木材の搬出、運搬、大工小屋での加工、それにプレカットなどを考慮に入れると、木材の経済スパンは決まってくる。今回建物は2間四角の田の字グリッドの間に階段及びホールスペースの1間×2間のグリッドを挟み込んだものを2層に重ね基本グリッドとした。これに、離れ的な性格を持つ2間×3間の平屋グリッドが取り付く。必要壁量、バランスなどはそれぞれに解析し、両者の間は玄関スペースでつないだ。グリッドを構成する通し柱は4.5寸角、胴差しは4.5寸巾のものを採用する、梁架けの時の断面欠損を考慮してのことである。特に四方差しとなる通し柱は6寸角以上のものを使用する。今回は大黒柱に7寸角、小黒柱に6寸角のものを使った。

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玄関ホールより台所・食堂を見る
台所は居間に向かって完全にオープン。後ろに収納棚。赤い珪藻土壁のところには冷蔵庫が入っている。奥に少し見えているのが洗面コーナー。天井、壁は共に土佐和紙貼り。床は唐松エンコウ板張り。
たたみ間
居間の一角にあるたたみコーナー。普段はこのようにオープンだが、いざというときには引き込みの襖で仕切る。たたみは和紙を編み込んだ縁なしのもの。

   

壁・床剛性、木材仕口について 
壁の剛性は面材で確保する。筋交いが線で力を処理するので取付部に応力が集中し現場での施工精度が性能を大きく左右してしまう性格を持つのを嫌ったからである。外壁に外断熱の通気工法を採用しているので面材は又、断熱、気密の助けともなる。建物の開放性を高めたり、室内の連続性を求めたり、空間の可変性を考慮したりしていくと壁の配置は難しい。耐力壁はこれらのことを念頭に置き、2〜3倍程度のものをバランス良く配置することを心がけている。

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階段ホール
階段は杉で作ったシースルーのもの。突き当たりに掃き出しの大開口。居間の掃き出しに向かってこの地に吹く南北の風を通す。

床剛性はグリッドごとの火打ち梁と杉厚板(t=39)の上に根太敷きエンコウ板張りの仕様で確保する。今回建物は、玄関部分の2階床(小屋)についてはデザイン上火打ち梁を設けたくなかったのでJパネルを使用した。
通し柱と胴差の仕口部には一般化の視点から金物を併用する。通常は胴差内に箱堀加工して隠すが、あまり無理はせず、Dボルトを使用して化粧として見せてしまうものも多い。管柱と横架材との取り付きは原則として長ほぞ込み栓を用いるがN値計算によって必要となる金物は併用する。

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2階階段ホール
ホールに書斎コーナー。造り付けの机の上にはパソコンが並ぶ。向かいは居間上部の吹き抜け。
2階階段ホール
ホールの手摺り壁は全て本棚。奥は寝室。

紀伊半島の中程に位置する地域の特殊性から台風に対する備えは欠かせない。タルキを4寸角にして1,200程の軒先を出すと、1本につき約200sの風圧力をうける。半間ピッチのタルキは12oのコーチボルトで桁梁に止め付けるが、念のためグリッドごとにタルキ、桁、柱をDボルトで一体に止め込む。もちろん柱下部はホールダウンやDボルトなどを使用して基礎コンクリートに定着する。

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南東側よりの外観

  

おわりに
住まい手の側からみた時にも、環境共生という視点で眺めても「木の家」はますます必要性を増す。「木の家」が特殊な技術でもって成立する、特殊な人のためのものではなく、プレカットを含めた地域に残る技術とおおらかに結びつき、それぞれに地域のスタンダードとなっていくことを願っている。

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建物名 / 南紀の台の家
所在 /  和歌山県西牟婁郡上富田町南紀の台
構造規模 / 木造2階建
主要用途 / 専用住宅
竣工 / 平成17年3月
敷地面積    /    237.04u (71.70坪)
建築面積    /    134.63u (40.72坪)
延床面積   / 174.33u (52.73坪)
1階           / 116.73u (35.31坪)
2階           /    57.60u (17.42坪)
ロフト階     /    14.74u ( 4.46坪)
特記事項 / 民家型構法の家、外断熱通気工法
 
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