木の家の建築家中村伸吾の建築設計事務所では和歌山の紀州材や自然素材を活かし無垢の材料で木造住宅を造っています。外断熱通気工法・土塗り壁・杉厚板の家などおまかせください。

わかやま木の家コンテスト2014優秀賞受賞

かずまくんち●平成23年8月 ●和歌山県岩出市

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かずまくんち

■建物解説

 長期優良住宅は高気密・高断熱でなければならないと思われているようですが、そうとも限りません。むしろ、木の家では高気密・高断熱の仕様は木の家特有の快適性を阻害したり、住まいの寿命を縮める要因ともなりかねないので注意が必要です。
一般に、断熱性能を高くすると壁体内の結露の危険性が高まります。そこで、結露を避けるために室内の気密性を高くしなければなりません。高気密の住まいを造ってしまうと、湿気は室内からの逃げ場を失い、エアコンや強制換気が必要になります。機械効率を上げるためにますます高気密・高断熱の度合いを高め、部屋を小さく区切って・・・という悪循環では人に優しい環境は創れません。エコであることを目指し、多少効率が良くなるからといって、長時間にわたって機械制御が必要な高気密・高断熱の家を造ってしまったのでは本末転倒です。そんな家のあり方をもはやエコとは呼べないでしょう。
木の家の大きな特徴は湿気を調整できるところ(調湿性)と、熱を蓄えられるところ(蓄熱性)。たとえ長期優良住宅といえども、木の家である限りは、木の家の特徴を良く発揮できるこしらえが必要です。「かずまくんち」は木の調湿性・蓄熱性を充分に発揮できるばかりでなく、家全体で湿気を屋外に排出する仕組みを備えた、自然素材で出来た清々しい空間を持つ、とっても珍しい「呼吸する長期優良住宅」です。(中村伸吾)

桧板 デッキ
リビング
子供部屋
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■住まい手インタビュー

興味ゼロからのスタート

 実は新築には、まったく興味がありませんでした。最近の新しい家って味気ないイメージだったし、さらに私達の経済力で建てられる範囲の家って、どうなのかな?家なんていらないよね、借金背負いたくないよね(笑)って。ところが、偶然前を通りかかったモークが素敵で!インターネットで調べてみたら、前にとてもインパクトのあった建物を建てた中村先生の事務所だった。中も見せてもらって「こういうお家だったら、建ててみたいなぁ!」と思ったのが、すべての始まりでした。木の重厚感や深呼吸できる空気感が、とにかく気持ち良かったんです。自然体でいられる雰囲気が、ものすごくピタッときた。当時は母も新築には反対でした。「若いのに家なんか建ててどうするの」って。でもモークへ一緒に行ってみたら、帰りには「もう建てなさい」と。みんなが大賛成になっていく中で「ああ、建ててもいいんかなぁ」という気持ちになっていきました。

オーダーメイドの心地よさ

 いろんな工夫をしてくださって、私達みたいな若い者にも、お金持ちなわけじゃないけど、ちゃんと楽しみと満足のある家づくりをさせてくれました。この限られた空間に、夢や希望をぎゅぅってパンパンまで入れてもらったな、と感じています。まるでオーダーメイドの洋服を着てるみたいに、肩がこらない。そんな家になりました。
理想は一つ屋根の下で家族が暮らすという感覚の、一体感がある家でした。2階のセカンドリビングには、吹き抜けに面した室内小窓があります。下から「お〜い」と声をかけると、小窓から子供の顔がのぞき「はーい」と返してくれます。玄関わきの和室の奥には4畳の大きな納戸があって、全員分の服が入っています。帰ってきた家族がみんな、そこへ行けば着替えられる…という空間が欲しかったんです。いったん全員がバラバラに部屋へ引っこまなくても、一緒に着替えをすませ、そのまま団らんへ移れます。

室内 室内

 キッチンは対面式のオープンな造りつけ。孤立せずに炊事できます。会話しながらお茶をいれられるので、お客さんもお待たせせず大助かり。引き出しには扉をつけなかったから、物の場所が一目でわかって、必要な物をサッと取り出せるのが機能的です。
洗面所も扉のついた部屋じゃないので、いろんな所をペタペタ触らずすぐ手洗いへ行けます。人が来てもあけすけ≠ネんですけど、家は家族が暮らすところ。よそいきじゃない空気が気に入っています。

いつでも空気が新鮮

 夏、家の中で扇風機もつけてないのに、風で髪が揺れるんです。空気がいつも新鮮で、私(奥さん)は、ハイツに住んでいた時には朝一番で換気をしないと喉が痛かったんですが、そんな事はまったくなくなりました。冬は蓄熱暖房機一台で2階まであたたかい。広い家に越したのに、トータルの光熱費はグンと下がりました。夏はハイツの時の半分。冬は同じくらいかな。梅雨どきには梁にヒモをわたして洗濯物を干したら、天日干しみたいにカラッと乾いてイヤな臭いもないのが嬉しい。こんなに大きな窓に、結露なんて一回もできたことがありません。

ほどよい距離感

 私(奥さん)は座卓から外を見てて、息子は階段に腰掛けて本を読んでて…みたいな、目は届くけど息苦しくない距離感で、自由に過ごせています。うちは部屋の区切りや扉は最小限なので、家の中のちょっとした所が、全部有効な場所として何かに使えるんですよね。一段高い和室の段差も一息つくのに丁度いいし、床にちょっとラグを敷けばくつろぎのスペースができちゃう。リビングの階段は座って話せたり読書できたり、思わぬお気に入りスポットです。家中にとまり木≠ンたいな心地いいポイントがあって、そのとき気持ちのいい場所へ移りながら、まるごと家の一部として、広く、一体的に使えてます。ベタベタひっついてるわけじゃないのに一緒にいると感じられて、それぞれ好きに過ごせている…このほど良い距離感が好きです。

かずまくんち

敷地の高さを活かした暮らし

 道路から1メートル以上高い敷地の個性が、暮らしに役立っています。周りから一段高いおかげで人の視線が届かず、存分に開放的な暮らしができてるんです。掘り下げた一部は、地下車庫。インターホンは道路と同じ高さの車庫前です。玄関戸は開けっ放しで網戸だけの時も多い…そこへ「こんにちは!」と来られると、私達すごく無防備に生活してるところをのぞきこまれちゃう。だけど玄関は階段を上がった目隠しのこちら側なので、お客さんがまずは下から声をかけてくれる安心感があります。
庭のある南側には田んぼが広がっています。ここで過ごすようになって、一番好きなのは稲穂のたなびく季節。田植えの直後も水面が鏡みたいでキレイなんですが、稲刈り前までは、一面が緑や黄金色に波うってて壮観です!見晴らしが最高なうえ、一年で一番心地いい風が吹きぬけていきます。庭の先が田んぼへ向かって三角に突き出ているので、まるで緑の海に舟で浮かんでるみたいな気持ちよさです。

リビング

吹抜

外観

 土地探しでは、30代の夫婦と子供だけの街…というのに違和感があって、分譲地はさけました。おじいちゃんもおばちゃんもお兄さんも子供も赤ちゃんも、幅広い世代の人達がバランスよくいる普通の町で暮らしたかった。できた集落の中にたまたま空いてるような土地があったら、そこへ住みに行こうと決めていました。ここは景色がキレイで、田んぼがのどかに広がっていて、咲く花や来る鳥で季節が感じられる。本当に良い場所で良い家が建てました。

(インタビュアー:中村祐子)

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■建物データ

●所在     :和歌山県岩出市

●竣工     :平成23年8月

●構造・規模  :木造2階建一部RC造 / 民家型構法

●主要用途   :専用住宅

●敷地面積   :271u(82坪)

●建築面積   :75u(22坪)

●延床面積   :125u(37坪)

●床面積    :地階/ 20u(6坪) 1階/ 62u(19坪) 2階/ 43u(13坪)