木の家の建築家中村伸吾の建築設計事務所では和歌山の紀州材や自然素材を活かし無垢の材料で木造住宅を造っています。外断熱通気工法・土塗り壁・杉厚板の家などおまかせください。

たのしい四季がめぐる家●平成27年4月 ●和歌山県紀ノ川市

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たのしい四季がめぐる家

■建物解説

 敷地は貴志川に沿う高台。前面道路は西側にあり、南北は隣地に接しています。しかし東側は畑地に接し、その向こうには雄大な山並みが拡がっています。この借景をいかして、移りゆく山の四季を楽しみながら自然と共にのびのびと暮らせるような住まいを目指しました。1階は大きなワンルームのような使い勝手。中心となる居間・食堂には薪ストーブが据わり、キッチンはぐるぐると回れるアイランド使いの対面タイプ、階段もこのスペースにあり、東側の窓は当然掃き出しの大開口でデッキを介して庭につながっています。さらに、薪ストーブの暖気を住まい全体に循環させるための工夫を通じて2階ともつながります。隣のタタミ間は客間も兼ねますが、それよりも普段使いを重視した設え。子ども部屋は丸太梁が丸見えの大部屋、最初から子供の数に合わせて・・・なんて区切りません。まずは大空間で充分に遊んで、個室は必要に応じて造っていく計画です。
 深い軒の出と大きな開口部が風の通り道を確保し、季節によって高度の違う太陽光を制御します。床・外壁はいずれも外断熱・通気工法。結露の心配が少なく断熱・気密の性能も優れています。住まいの骨格をなす構造材は龍神材。木組みの美しさを楽しみながら、湿気を調整する木の特性が良くいきるようにあらわしで使っています。壁は珪藻土と杉板で仕上げました。蓄熱・調湿の性能が高い材料で出来上がった室内は機械依存が少なくエコロジーでエコノミーな上に快適です。

たのしい四季がめぐる家 庭

 竣工から1年半の時が過ぎ、庭の芝生もすっかりそろいました。室内とデッキと庭を一つにして、住まい全体が家族の良い遊び場です。大きく開いた東の窓からいつも新鮮な朝日が差し込み、爽快な景色の中を四季が巡ります。陽だまりと風と木の暖かみを感じる暮らしを実現する住まいです。(中村伸吾)

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■住まい手インタビュー

冬も素足で開放的に

 帰ったらすぐ靴下を脱いでしまいます。この時期(十一月中旬)でも、素足と薄着で充分あったかいんですよ。特に朝日が気持ち良くって。目がさめると前の畑が一面真っ白にキラキラ光ってることがあるんです!霜の降りる寒い日なんですが、そんな時でもウチは朝一番から隅々までぽかぽか陽が満ちて、前日の薪ストーブの熾火の温もりも残ってて、フフ…って、いい気分で一日が始まります。

たのしい四季がめぐる家 内観

 薪ストーブは、僕(ご主人)が夕方帰ってきて焚き始めて、夜寝るまでの6時間くらい薪をくべてるかな。真冬でも暖房はほぼそれだけですね。夕方、補助的にファンヒーターをつけることはありますが、エアコンはゼロ。日中暖房をかけずとも自然にあたたかいので、室内に閉じこもってるっていう感じがしなくて、開放的な気持ちになります。

植物ものびのび育つ室内環境

 賃貸暮らしが長かったので、梅雨時期のジットリや、暑さ寒さがしんどいなぁ…と身に沁みていました。一日中空調がないと厳しかった。この家では、まったくそんなことがない。 あたたかい時期には窓をフルオープン。せっかくの景色がもったいなくて、夏は網戸もしないんです。蚊取り線香を焚きます。風通りは最高です。

たのしい四季がめぐる家
たのしい四季がめぐる家
たのしい四季がめぐる家

 真夏の日差し対策には、二階デッキの鼻先に日よけの布を吊ってみました。真昼は端を結んでおき、夜は下ろして目隠しにします。カーテンよりずっと風が入るし、閉めても部屋とデッキが区切られません。下ろしたまま室内とデッキを行き来できるので広々してて、意外にヒットな工夫です。キッチンカウンターの観葉植物は新築のお祝いにもらったんですが、すごい勢いで育ちました。プレゼントしてくれた友人が一年後あそびに来て「え!ごめんな!? 」っておどろくぐらい (笑)。

毎日を贅沢にたのしむ

 リビングにある東の大きな窓辺へ、自然と家族が集まります。景色を眺めてゆったり過ごす時間が大好きです。デッキには椅子を出して、ギャベを敷いてあります。オニギリでもオヤツでも、デッキへ腰掛けて食べるのが一番美味しい!外の水槽でのんびり泳ぐ金魚を眺めたり、夜には月見…家でするちょっとしたことで、贅沢な気持ちになれてしまいます。

たのしい四季がめぐる家 たのしい四季がめぐる家

 二階の十一帖の板間は今はフリースペースで、子供が走り回るのにちょうど良い空間。休みの日はパパとリトミック(リズム体操)します。私(奥さん)がピアノを弾いて。この部屋は薪ストーブの煙突が通っていて、一階からダイレクトに暖気があがってくるので、洗濯物を干すようにもなりました。よく乾くんですよ!干して三十分もすれば、バスタオルがパリッとしてます。夜に干して、寝る前には乾くので助かります。家中まるごと好きな場所になりました。どこに居ても居心地がいい。一階の和室に、デッキと庭。二階…子供が充分に家の中で遊べてしまうこともあって、自宅で過ごす時間はグンと伸びました。

私達らしく、この場所らしい家

 春は正面向こうの神社の参道が見事な桜並木に。貴志川沿いの山脈は、新緑も紅葉もキレイ。庭のサンゴカクモミジは、落葉すると真っ赤な枝振りが鮮やかです。庭は、東窓からのこんな眺めがキレイに見えるよう、計画して手を入れているところです。家を建てるために、たくさんの本やメーカー、建築家を訪ねたけど、賃貸を立派にしたみたいな家はピンとこなくて…。敷地は先に決まっていました。景色の良い場所だし、家だけでパッケージとして完成したのをバーン!と置くんじゃなくて、馴染む感じでロケーションを生かして住みたかった。「自分だけのもの」が欲しいという気持ちもありました。

たのしい四季がめぐる家 たのしい四季がめぐる家
たのしい四季がめぐる家

 イチから話を重ねて建ててきたこの家は、すごく開放感があって。少しの時間の流れや、季節の移り変わりが感じられる毎日が楽しいです。僕(ご主人)は元々、革製品とかも好きなんです。年々変化して、味の出てくるものってイイです。実家が僕で4世代目になる住まいなこともあって、家って数十年で終わるようなものじゃないと思っていて…。我が家を、世代を越えて引き継いでいけるものとして建ててもらえた事は嬉しく思っています。

暮らしに馴染むキッチン

 炊事はキッチン。洗濯やお風呂もすぐそこ。干すのはデッキ…リビング周りで家事を全部してしまえるのは便利です。キッチンは〈キッチン〉という別の場所じゃなく、普段いる空間の一部に溶け込んであるので、いろんな楽しみの中心になっています。「キッチンへ行く」という感覚でなく、みんながラフに立ち寄れる感じ。子供もぐるぐる回って料理しているところへよく来るし、私(奥さん)も子供を見守りやすく、居る所へサッと行ける。主人はお気に入りのラーメンや焼酎をコレクションしていたり。

たのしい四季がめぐる家

 お客さんは「木のいい香り」と言ってくれますが、私達はもう慣れてしまって、わからないんです。でも私も食器棚を開けたりすると、とっても濃い良い匂いがして「あ!木の香りだ!」って嬉しくなって。「食器棚はいい匂いがする!それは僕も、よくわかる(笑)!」(ご主人)隅々までちゃんと本物の木でできてるって、なんだか折々に実感しますね。

(インタビュアー:中村祐子)

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■建物データ

●所在     :和歌山県紀ノ川市

●竣工     :平成27年4月

●構造・規模  :木造2階建 / 民家型構法

●主要用途   :専用住宅

●敷地面積   :248u(75坪)

●建築面積   :102u(30坪)

●延床面積   :135u(41坪)

●床面積    :1階/ 86u(26坪) 2階/ 50u(15坪)