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無垢の木のマメ知識

木が、建築用材になるまで

木が、建築用材になるまで
山に生えている木(立ち木)は、木材自体の約1.5倍~2倍を越えるほどの水を含んでいます。
このまま建物に使ったりするとカビが生えたり、割れたり、曲がったりします。建材として住まいに使うことができません。
木材に含まれる水分量を表す指標を「含水率」といいます。
立ち木では、含水率は150%~200%ですが、建築に使える「乾燥材」の基準は、一般に含水率15~30%ほどとされています(樹種と用途によります)。豊富に水分を含んだ状態から、15~30%ほどまでに含水率を落としていく工程が、木材の乾燥作業にあたります。
 
木材乾燥のアレコレ
(Mo-Ku通信vol'12)

木材乾燥の目的

① 建築後の変形・収縮をふせぐ
野菜や魚が保存用に乾燥させると縮む……これと同様の現象が木材にも起こります。
乾燥とは、もともと含まれてあった水分が物から失われてしまう現状。失われた水分の分、減った体積が「縮み」です。
木の場合は、水分の体積変動が変形・収縮、曲り・反り・割れなどとなって現れます。
生材のまま建築に使用した場合には、建てた後、自然に段々と乾燥が進み、この変形や収縮の度合いが大きいために、家の構造に歪みがおこる可能性が非常に高くなります。
 
② 変色・腐りをふせぐ
木が腐る…とは、水分・酸素・湿度・養分の4条件が揃い、木材腐朽菌が発生して、木の成分を分解してしまう事です。
しかし、変色菌、腐朽菌などは、含水率20%以下に乾燥すればほとんど発生しません。
切り旬(切り時とされる冬場)を守り養分の少ない状態で伐採して、適切な乾燥を施された木材は、 腐るための条件が揃わず、変色や腐りを避けることができます。 
 
③ 木材の強度的な諸性能を高める
多くの樹種において、含水率が30%以下に達すると、乾燥するほど木材の強度性能が向上します。
細胞壁と細胞壁の間にある自由水がほぼ失われ、繊維が密になるためです。
未乾燥材に比べ、釘や木ネジの保持力が向上します。
未乾燥材で建築後の木材収縮により、ボルト結合部に隙間が生じ結合力が弱まる……というようなリスクを、乾燥材では回避できます。
 
 

天然乾燥・人工乾燥の特徴


木材の乾燥には、大きくわけて2つの方法があります。

・機械などに頼らず、昔ながらの方法で自然に乾燥させる、天然乾燥
・乾燥釜に入れ、人工的に急激に乾燥させる、人工乾燥


木の繊維にムリをしいない天然乾燥では、木、本来の成分や良さが残るのと同時に、木それぞれの個性もそのまま残るため、いろいろな面で個体差が現れやすいという一面があります。

人工乾燥は、温度や湿度の調整、または電子レンジのような原理を利用したものまで、方法は多様です。
水分をぬく乾燥期間が短かく、 急激に乾燥させられたものほど、木の色艶、香りを失いやすく、強度も低下し、内部割れを起こすなどのリスクが高まりやすいといわれています。反面、適切に処理されれば、寸法の狂いの少ない、性能の画一的な製品を安定的に得られるという利点があります。
乾燥方法 天然乾燥 人工乾燥
色・ツヤ 木、本来の油分が残るため、特有の色艶が出る 色ムラが少なく均一な色になる
木の自然な香りがする やや焦げ臭く、木本来の香りは薄い
環境負荷 日光の具合や風で、自然に乾燥するため、環境負荷はかからず、地球にやさしい 乾燥時に機械が消費する化学燃料や、排出CO2など環境負荷が大きい
強度 繊維が破壊されないため、粘りがあり、木本来の強度が生きる 個体差が少なく、製品として安定した強度がある。反面、内部割れの状態によって危険な場合も
乾燥期間 長期の時間が必要(半年〜) 10日~15日程度(手法による)
割れる場所 天日や風などを利用し、自然に乾燥させるため、小口や外側から乾燥が進み、割れは外に現れる 釜に入れて高温で処理し、内側から直接水分を蒸発させるため、割れは見えない内側に
 

木の “ 割れ ” について

 “ 割れ ”は乾燥のときに水分がぬけた場所に発生する

木の割れは、材木の外周部分と材木の芯の固い部分との収縮率の違いや、部位ごとの乾燥具合の差による引き連れで、方法を問わず、乾燥させれば必ず起きるものです。度合いは、乾燥の手法とスピードによって軽減させることができ、ゆるやかに乾燥させればさせるほど小さくおさめられます。



天然乾燥では、目に見える外側に。
人工乾燥では、目に見えない内側に割れが生じます。


天然乾燥材の外側の割れは、木の繊維が損なわれていないため、強度的に問題がありません。
人工乾燥の場合は商品の美観を優先し、外側に割れが出ないよう、木の細胞壁を壊す事によって、本来は水分が抜けにくい内側から水分を抜き取ります。この時に生じる内部割れは、度合によって 強度に問題をきたす場合があります。

天然乾燥材と人工乾燥材では木の性格がまったく異なります。
それぞれの特徴をよく知り、材に合ったそれぞれの組み方で家を仕上げる工夫が求められます。

 

中村伸吾建築設計室・木の家工房Mo-kuの木材


中村設計の木の家では、構造材には龍神産の天然乾燥材を使用しています。
家づくりの現場に運び込まれる前には、事務所の設計スタッフが色艶・目込み・虫食い・割れ・腐 り・含水率などの木材検査を入念に行います。
床板などに使われる唐松・赤松などの木も、すべて国産の乾燥材です。
質の良い木材できちんとした家づくりをすることは、住まいの安全性を高め、寿命を伸ばします。室内の衛生環境にも大きな影響を与えるでしょう。
健全な木材と、心と体が気持ちいい毎日を暮らしたいものです。
  • ▲木材検査の様子
    実物を現地でチェックする
  • ▲含水率を測る様子
    樹種・部位・用途のそれぞれに応じて、適切な含水率まで乾燥が達していることを確認する
  • ▲木材加工のための施工図など
    こちらもチェックの様子。

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