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シロアリと縁なく暮らすコツ

シロアリと縁なく暮らすコツ
初夏を迎えるとシロアリも活発化し、次世代を担う繁殖虫・羽アリたちが、新たな巣作りのために群れを成して飛び立ちます。
住まい手にとって結婚飛翔は、シロアリ被害に気づくための大変わかりやすいシグナルともいえます。
シグナルを見逃さないためにも、シロアリについて、特徴や習性を少し知っておきましょう。
 
人にやさしく、シロアリに厳しく
(Mo-Ku通信vol'11)

シロアリとは?

・シロアリはアリではない?
“アリ”という名前ですが、アリはハチの仲間であるのに対し、シロアリはゴキブリに近い全く別の生き物です。
土中にコロニーと呼ばれる巣を造り、そこを中心に近辺を食害し、餌を求めて移動します。


 
・シロアリの食べるもの
シロアリは雑食性昆虫で、木材のほか、プラスチック、ゴム類、 繊維類、皮革類をも食害します。
煉瓦やコンクリート、金属も軟らかい鉛や薄板は被害が確認されています。
主な栄養源はセルロース(繊維素)で、セルロースを多く含み好環境下にあって無防備なものから食べていきます。 
 
・国内に多い種類
日本では、主に2種類のシロアリが住まいに害をもたらします。紀伊半島周辺では、2種類とも活動しています。
名前 体の色 群飛時期 時間 特徴
イエシロアリ 黄褐色  飴色 5月~7月上旬 夕方~夜 大きな集団で活動し、加害は激しい。
ヤマトシロアリ 黒褐色 4月~5月 昼間 比較的小集団で活動。日本列島のほぼ全域に分布。
 

3つの点検項目

 1 : 羽アリがたくさん飛んできた!

この時期、シロアリは次世代の新たな巣作りのために繁殖虫を飛ばします。これを、群飛といいます。
パートナーを発見できた繁殖虫は羽が落ち、雌雄で巣作りを開始します。

<※羽アリが大量に飛んできた時は、すでに近所に巣がある可能性が高い>
・群飛時間は数十分・飛距離はおよそ数百m程で、風に乗っても1km程度だと言われています。
・群飛があるのは、かなり発達したコロニーです。 作り始めて間もない巣からは起きません。
 

 2 : 壁などに、土の筋(蟻道)や土の固まり(蟻土)がついている

シロアリは光や風を嫌うため、土で蟻道(ぎどう)を作り、その中を移動します。
また、同じ理由で木材の割れ目、すき間などにも排出物や土を詰めます(蟻土・ぎど)。
時どき建物の基礎や壁などに蟻道、蟻土がついていないかを確かめましょう。
 

 3 : 木材の下に、木屑のような粉が大量におちている

乾材から乾燥した砂粒状の糞が排出されている場合は乾材シロアリの被害です。
イエシロアリ・ヤマトシロアリと違う系統のシロアリが繁殖している可能性があります。

 

点検で兆候をみつけたら…

専門家に見てもらい、駆除または予防することをオススメします。
駆除・予防には薬品の床下散布などではなく、
ベイト工法(アリの巣コロリのような方法)による、巣そのものの根絶が有効です。

・なぜベイト工法なのか?
シロアリ対策には、バリア工法とベイト工法、大きく分けて2つの方法が存在します。

バリア工法は、自宅に殺虫剤や忌避剤を散布し効果が薄らぐまでの数年間、シロアリを寄せ付けなくするものです。ですが、薬品は必ずしも人体に無害ではありませんし、施した薬剤部分へ接する機会のなかったアリや、離れた場所にある巣そのものへは効果がありません。薬効が切れれば、また巣からシロアリがやってきます。

ベイト工法では、シロアリの繁殖を阻害する薬品を混ぜたエサを敷地内の数カ所に埋めます。
それを食したシロアリたちが脱皮できなくなり子孫を残せずに、巣が全滅するという方法です。人の生活空間に薬品を持ち込まずシロアリを巣ごと根絶できるので、人体への影響が少なく、原因自体を根絶できるこちらの方法がオススメです。

 
日頃のそなえ
家の外回りに、雑貨や、雨よけのシートをかぶせた荷物を置いたりしていませんか?
お庭のオシャレな雰囲気づくりに防蟻していない枕木や木材を埋め込んだり、伐採した木の根っこをそのまま埋めっぱなしにしていませんか?
長期間放置すると、シロアリがそれを美味しいゴハンだと判断してしまいます。家自体はしっかりと防蟻できていても、すぐそばに魅力的な餌場があればシロアリを呼び込むきっかけとなってしまうことがあります。
太陽が当たらないデッキ下。雨風がしのげて地面からの湿気は密封してくれる雨よけシートの中、地上を通らずアクセスできる庭の土の中は、シロアリにとって好環境となりがちです。
住まいの周りは、できるだけスッキリと物を置かない状況で保ちましょう。物置きなど、シロアリにとって好都合なエサと湿気と日影が揃うポイントは、可能な限り家から離して設置する方が安全です。
 

中村伸吾建築設計室・木の家工房Mo-kuのとりくみ

 
中村設計の木の家の、シロアリへの備えは5段階です。
<1> 殺虫剤は人間にも有害なので、使用しない。
<2> 食われにくい木を用意する。
<3> 住まい全体の適切な乾燥度を保つ。
<4> シロアリを寄せ付けないよう、基礎に接する木部には木酢液を活用し、外部は更に天然成分を主成分とした木材保護剤などを塗布する。
<5> それでもシロアリがやってきたら、ベイト工法で対応する。 

構造材には龍神の紀州材を、他の木も全て国産のものを使用します。
建築基準法や住宅金融公庫の基準では、ヒバ・桧・杉などの特定の国産樹種は、無垢でも薬剤を用いたのと同等の耐腐朽性及び耐蟻性を持ちうると認められています。それを、天然乾燥で基準の含水率までしっかりと乾燥させてから、食害を受けにくい心持ち材を用意し、天然の忌避成分で保護しています。
建物の構造面では、基礎コンクリー トからの湿気を木部が直接うけないよう、接合部にパッキンを挟み込みます。
パッキンの厚み分の空間は大容量の換気口となり、床下は常に外気と同じ状態で保たれます。
ベタ基礎の下には防湿シートを敷き込み、地面からの湿気もシャットアウト。
住空間にも柱・梁が現れる形(「あらわし」)で建てるので、木材をはじめ、家全体が常に適切な乾燥度を確保できる造りです。
 
  • ▲通風パッキン
    基礎部分と木部の間の黒い部分。連なったストローのように、管が並んでいる。360度、全方位から通風でき、風向きに関係なく従来の基礎に通風窓をとる方式より多量の換気ができる。
  • ▲基礎コンクリート打設前の配筋
    針金のように見える鉄筋の下の白い部分が防水シート。
  • ▲防水シート拡大写真

ゴキブリに並ぶ生命力を持つシロアリですが、繁殖には適した温度・湿度・食物の三つが欠かせません。
そこで、風通しを良くし、良質の木材を適切な方法で活用することによってシロアリからの自衛を行います。

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