コラムcolumn

設計と監理は一体のもの。

  • 家づくりを楽しむために -その44
設計と監理は一体のもの。
美しいシンフォニーを奏でるオーケストラ。指揮者はただ単にタクトを振っているのではありません。譜面を読み取り、おこし、それぞれのパートとコミュニケーションをとり、音色などの微妙なニュアンスまで突き詰めて曲を完成させているのです。

設計事務所の仕事についても同じようなことがいえます。「設計図」は楽譜のようなもの。それを忠実に再現する指揮者がいなければ、設計者がイメージした建物を完成させることはできません。

「設計」の作業と「監理」の作業を別々に発注したために、思ったものができなかったというケースがたくさんあるのです。
建築家が頭に描いた建物の完成イメージのすべてを、図面の指示だけで、第三者が100パーセントカタチにすることは できません。

建築家がお施主さんと語り、情熱を注いだプランをカタチにするために、「設計」と「監理」を別々にしない家づくりをしていただきたいと思っています。

家族の一体感を取り戻そう。

  • 家づくりを楽しむために -その43
家族の一体感を取り戻そう。
「そんな広い空間にすると、冬は寒いし、夏は暑いんじゃないですか。」・・・プランニングの際に、お施主さんから、よくこんな質問をいただくことがあります。  確かに、熱効率を考えると、「広い空間よりも部屋をいくつかつくるほうがいい」というのも一理あります。しかし、熱・湿気・風通し対策をきちんとすれば、その問題はクリアできるのです。

紀南は、気候風土に恵まれた、暮らしやすい地域であるがゆえに、断熱・蓄熱対策といったことにあまり注意をはらってきませんでした。その結果、「大空間は寒い」といった先入観をもってしまう方が多いのだと思います。

また、部屋をいくつもつくるということは、プライバシーが守られる反面、一人一人が孤立しがちになってしまうということも忘れたくありません。

家族が一つの空間で、お互いの存在を確認しながら過ごす・・・
大空間の良さを見つめなおし、家づくりにうまく取り入れていただきたいものです。

新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。

  • 家づくりを楽しむために-2002年始号
新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
ひとをかがやかせ、よろこびをともに分かち合う仕事への誇り。そして、まちがときめくか否かの鍵のひとつは、私たちの手に委ねられているという責任感と使命感・・・。 
2002年の幕開けに際し、「より地域社会に役立てる設計事務所」であることを期し、コミュニティーを大切にした空間づくりにスタッフ一同邁進してまいります。 
本年もご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。

「紀南らしさ」をつくりだそう。

  • 家づくりを楽しむために -その42
「紀南らしさ」をつくりだそう。
東北・関東・関西・九州・・・日本の各地の住宅街をみてみると、地域によって気候・風土が異なるはずなのに、同じような家が建ち並んでいます。利便性・効率を追求するあまり、ここ数十年で日本の住風景は一変してしまいました。

職人が腕を揮う場所を奪い、代々受け継がれてきた、地域独特の家づくりの知恵と住文化を置き去りにしてきたのです。

日本人が得意とする柔軟で自由な発想で、先人が築き上げてきた知恵と技術をいかし、新しいものをうまく取り入れて、「伝統に裏付けられた新しさ」を、私たちはつくりだすことができるはずです。

木材など恵まれた地元の資源を有効に使い、森林の保全に家づくりを通して貢献する。地元の職人が誇りをもって腕を揮える機会をつくりだし、喜びを分かち合う・・・そんな、地域を大切にした、「紀南らしさ」にこだわった家づくりの輪が、広がっていくことを願ってやみません。

「木」の家に住む価値と意味を学ぼう。

  • 家づくりを楽しむために -その41
「木」の家に住む価値と意味を学ぼう。
健康・環境意識の高まりとともに、木の家・自然素材の家への関心が全国的な広がりをみせています。そして、書店の建築雑誌のコーナーにも「木」の良さが見事に表現された住宅の特集があふれています。

「せっかく構造に木を用いているのに、壁を新建材で覆い、木の特性がいかされていない家」でなく、「木の優れた性質と特長が、構造からデザインにまでいかされた家」を求めるのは当然のことだと思います。

ところが、現実は思うほど簡単ではありません。肝心の「木」の部分が割れる、曲がる、色あせる、工事が長引く・・・望んでいたような仕上がりにならず、挙句の果てに大変な高ものになってしまったという、冗談のようで笑えない問題が身近に起こっています。

長く付き合え、評価も高い、この国の住文化を支えてきた「木」という素材。彼らとの付き合い方を学ぶとともに、その特性と特徴を最大限にいかす「木」を「木」として使う工夫を凝らしたいものです。

使い捨てにならない「家づくり」を。

  • 家づくりを楽しむために -その40
使い捨てにならない「家づくり」を。
昔は家を建てると、そのときに「木」を植えました。
「この家は百年はもつから、百年後に家を建てるときにちょうどいいだろう。」・・・そんな時間感覚をもっていました。今のそれとは随分違うようです。この話から今回は二つのことに着目しました。

一つは、住宅を「資産・財産」と認識し百年を越えるスパンで寿命の設定をしていたということです。現在の住宅の平均寿命は統計によると二十六年程度ですが、本来ローンを払い終わるとすぐ寿命を迎えるようなものは、ただの「負債」で「資産・財産」とは言えません。手直しをしながら、家族のアイデンティティと共に「親」から「子」へと受け継げてこそ価値があるのです。

もう一つは地域循環、環境循環という考え方です。私たちの文化は、それぞれの地域に存在する素材をいかして、自然の中で調和のとれるものを創っていく中で育まれてきました。「住宅建築」は地域の経済や環境に密接に関わっているのです。

目先のことにとらわれない、地域の経済や自然環境の保護に役立つ家づくりを忘れたくないものです。

しっかりとした価値観を。

  • 家づくりを楽しむために -その39
しっかりとした価値観を。
「日本は、経済は一流。文化は三流。」という意見を耳にします。私たちの、経済性、利便性、合理性を過剰に追求する姿勢もあきらかに方向転換の時期が来ています。

ゴミや環境問題などを国の内外にわたって引き起こしたり、区画整理事業で安全を優先するあまり、せっかく成立していたかけがえのないコミュニティーが崩壊する集落があったり、住まうことに対しての優先順位をつけ間違えたためにシックハウスやハウスダストに悩んだり・・・私たちにとっての「幸福」「快適」とは何なのでしょうか。 
そして、私たちは流行に流されすぎだとも感じています。
外壁サイディングに内部はクロス貼り。深い考えも無しのバリアフリー・・・日本国中同じ家があふれています。

本当に多くの警鐘が鳴らされている今日、目先のことにとらわれないで、そして氾濫する情報に流されないで、しっかりとした判断力を持ち、次世代のために責任を果たしていきたいものです。

家族の変遷を包み込む家づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その38
家族の変遷を包み込む家づくりを。
「部屋でごろごろしないで、勉強しなさい。」「きちんと掃除しなさい。」・・・夏休みを迎えて、家族紛争が絶えないご家庭も多いのではないでしょうか。

私たち親は、「落ち着いて勉強させてあげたい。」「心地よい環境で自立心を養なってほしい。」と願って、子供に部屋を与えたはずです。にもかかわらず、かえって勉強しなくなったり、だらしなくなったり。そして、親の干渉に対して、「カギをつけてちょうだい。」「ボクの部屋に勝手に入らないで。」と部屋を与えたために、親子関係がギクシャクしたりするケースが多いように思います。

私たち親はどうしても子供中心に物事を考えがちで、自分たちのことを犠牲にしているようにも思います。

安易に子供のことを第一に考えた家づくりではなく、歳月の経過とともに移り変わる家族の暮らしを包み込む家づくりが大切だと考えています。

住文化の違いをきちんと認識しよう。

  • 家づくりを楽しむために -その37
住文化の違いをきちんと認識しよう。

日本の住まいは「傘の家」、欧米の住まいは「壁の家」と言われます。日本では、梅雨時の雨に備える軒の長い屋根、それを支える柱と梁・・・傘を開いた時のように雨や日差しをしのぎやすく、風通しの良い建物スタイル・・・先人達は、四季があり、高温多湿な土地柄に合った開放的な住まいを築いてきました。

一方、欧米では、厳しい冬や乾燥、外敵に備えるために、石や土で造られた壁に小さな窓を設けた、閉鎖的な住まいを築いてきました。どちらもそれぞれの気候・風土に根ざした合理性のある住まいです。

情報社会の一つの弊害は、深く意義を考える間もなく、ビジュアルが選択の方向を決定づけてしまうことです。最近流行だから・・格好がよく見えるから・・というような理由で、「壁の家」を日本の住まいに持ち込んでしまうのは危険なことです。

よその世界で快適な「壁の家」も、日本では結露がひどかったり、エアコンをフル稼働させないと夏や冬が過ごせなかったり・・・一人一人が個室で過ごすためにプライバシーが一人歩きして、家族のコミュニケーションがうまくとれないといった事も起こっています。
気候・風土に根ざした建物を基本に、現代に必要な性能と感性をプラスして、家族が「いい関係」で暮らせる「心地よい住まい」を築いていきたいものです。

効率・利便を追求する家づくりへの疑問。

  • 家づくりを楽しむために -その36
効率・利便を追求する家づくりへの疑問。
「古い家を建て替えて、暮らしやすくなったのですが、前の家のほうが落ち着けたように思います。」とおっしゃる方に出逢いました。

太い柱、梁、軒、土壁、縁側・・・自然素材でできたその住まいには職人たちの技術と工夫、暮らしの知恵がいっぱい詰まっていました。

人の祖先が誕生したのが約400万年前、文明は約5000年・・・長い歴史の中、人は自然の中で、そして、その地の自然素材を使って住まいをつくり、暮らしてきました。そのことにより、「自然素材に囲まれて暮らす」という因子が、私たちの体に組み込まれているのだと思います。現在のような新建材・石油製品でつくられた家が登場して僅か数十年、「落ち着けない」「しっくりとしない」のはそのためではないでしょうか。

工期、手間、価格、効率を追求し、新建材なしでは語れない現在の住まい。今のまま、効率を追求していくのか、私たちが本当にそれを求めているのかを見つめなおすことが必要だと思います。

固定観念にとらわれない、自由な発想で家づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その35
固定観念にとらわれない、自由な発想で家づくりを。
自分の好みやライフスタイルにあうものを選んで、品質・性能をチェックしたり・・・日々の買い物にあれだけ神経をつかっているのに、一生のうちで大きな買い物である「家」にはあまりにも無造作であるように思います。

また、「一階にはキッチン・リビング・和室、二階には子供部屋・・・」家はこうあるべきだという固定観念にとらわれすぎているようにも思います。

何よりも第一に、自分たちが何をもとめているのか、どう暮らしていきたいのかを明確にすることが大切です。そして、そのために必要なものを選択し、創意工夫を凝らしていく・・・。目標がはっきりしていれば、迷うことはないはずです。観念にとらわれなければ、家づくりがもっと楽しくなると思います。

もっと自由に、あなたらしく。時間と情熱を投資し、家づくりを楽しんでいただきたいと思っています。

自然と調和し、協調した住まいを。

  • 家づくりを楽しむために -その34
自然と調和し、協調した住まいを。
ネイティブ・アメリカン(アメリカ・インディアン)の長老は、「山に目を向けなさい。」といいます。山の頂から見渡すように、これから続く何世代も先の者たちのことを考え、広い視野で物事を見るようにと論しています。

環境・人工・食糧問題など、多くの警鐘が発せられている中で、私たちは快適性・利便性を追求しすぎているのではないでしょうか。

たとえば、住宅では冷暖房効率を上げるために、高気密・高断熱にしていることが、かえって木の持つ特性をいかせず、住宅の寿命を縮め、健康にも影響を及ぼしています。少し不便でも、環境の事を考えた、人間の生理にあった住まいづくりが大切だと切実に感じています。
人々が腰を据え、いくつもの警鐘に耳を傾けるのであるなら、現在の技術と受け継がれてきた伝統的な知恵とが結びつき、多くの問題を解決していけると信じています。

「人生の転機、 『家づくり』というチャンスを生かそう。」

  • 家づくりを楽しむために -その33
「人生の転機、 『家づくり』というチャンスを生かそう。」
先日、ある本の一節が目にとまりました。「昔、日本の男たちは住んでいる村の名前で呼ばれていた。清水の次郎長は清水村に住む次郎長だからそう呼ばれ、国定村の忠次も大前田の何とかやらもそうだった。」
なるほど、現在の男たちの肩書きはみんな市役所にお勤めの○○さん、□□会社の○○さんばかり。自縁コミュニティーよりも、職能コミュニティーに偏りすぎている気がします。子供のことも、ご近所のことも、何かと奥さんまかせになりがち。。男性が地域のことに積極的に参加し、自分たちの手で暮らしやすいコミュニティーをつくっていくことが大切です。なかでも、家づくりは、自分たちが暮らすまち、人とのつながり、そして、家族のことを見つめ直す大きなチャンス。 
家の設備や間取りだけでなく、地域のコミュニティーにも目をむける、ゆとりある心を持ちたいものです。

「ふるさと」を輝かせる家づくりを。

  • 家づくりを楽しむために -その32
「ふるさと」を輝かせる家づくりを。
「紀南らしさ」が少ないことに驚くとともに、残念に思う最近の住宅。和歌山は「木の国」とよばれ、木の産地として全国的にも有名でありながら、さみしいかぎりです。
これまで、「自然素材でこの地域に適した家を考えてみませんか。」という提案をしてまいりましたが、それに加え、「木材をはじめとした地元の材料、地元の職人さんやお店を活用した家づくり」が大切だと痛感しています。
わが国は、「木」を大量に海外から調達していますが、私たちにとっても相手国にとっても、現実は決して良いことばかりではないようです。それに「木」はそれぞれの産地独特のカビや虫に対する抵抗力を持ち、気候・風土に適応しているため、地元で使用することが一番良いのです。
住宅を建てるときの選択ひとつで、どんな快適な生活を手に入れられるのかということとともに、地域を衰退させること も、輝かせることもできるということも、しっかりと捉えていたいものです。

新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。

  • 家づくりを楽しむために -2001年始号
新年あけましておめでとうございます。 旧年中は格別のご厚誼を賜り、厚く御礼申し上げます。
心暖まる、心躍る・・・すぐれた建築物には、人の心を打つものがあります。

豊かになった日本。気候・風土に恵まれた紀南。
この地で育まれた文化を建物に、そして『まちづくり』にいかし、心に響く空間創りにスタッフ一同邁進してまいります。

雪月花...四季を愛で、自然ととけあう住まいを。

  • 家づくりを楽しむために -その31
雪月花...四季を愛で、自然ととけあう住まいを。
最近、建築関係法規の改正にともない、ますます住宅の高気密・高断熱化が促進される傾向にあります。しかし、ポリフィルム等で密閉し、大量の断熱材を屋根や壁に充填したうえで、強制給排気設備に頼って生活する、新建材や石油製品だらけの住宅が、実は、自然や人間に大きなリスクをもたらすものだとわかってきました。

「日本で1、2に住みやすい。」といわれるこの地域で、住宅を高気密・高断熱化してまで冷暖房効率に気をつけなければならない日が、年間何日あるのでしょうか。ほんの少しの日のために、そんな家が必要なのでしょうか。 

自然素材でつくる家は特殊なものではありません。むしろここ30年間に建てられた新建材や石油製品だらけの住宅が特殊であると思うのです。軒高は高すぎず、軒の出をしっかり出して、効果的な開口部の計画をし、日当たりと通風に対処する。土塗り壁や板壁等で湿度の調整を心がける… 
私たちの忘れかけている、「先人達が工夫をこらしてきた、この地域の住文化」を見つめなおすことが、今一番必要なことではないでしょうか。

住宅建築にできること。

  • 家づくりを楽しむために -その30
住宅建築にできること。
地球温暖化防止の手立てとして、温暖化ガスのCO2(二酸化炭素)を吸収する森林が注目されています。CO2は、木の幹・枝に姿を変え、朽ち果てるまでそこに蓄積されます。吸収力が大きいのはスギの場合、樹齢50年までの木で、その後は徐々に低下していくそうです。
50年生の木を使用した場合、日本の住宅の平均寿命は二十六年と短くスクラップアンドビルドのサイクルが早いため、せっかく固定したCO2を2倍のスピードで排出しているのが現状です。
住宅は部分に分けて考えていくべきです。柱・梁・床板・屋根下地など基本構造部分には太く・厚く・大きい木を使い、100年サイクルの耐久性を持たせる。化粧材や設備については、20年~30年を目安にメンテナンスを考える。50年生きてきた木に、家として100年の命を与えて、はじめてCO2の削減は実現できるのです。
経済性とともに、地球との共生は、住宅建築にはなくてはならない視点なのです。

住宅のライフサイクルに関心を。

  • 家づくりを楽しむために -その29
住宅のライフサイクルに関心を。
ある雑誌に、「山などに不法投棄されるものの8割近くは建築廃棄物だ」と掲載されていて、心が痛みました。「捨てる人が悪いんだ。」と言えばそれまでですが、本当に私たちに責任がないと言えるのでしょうか。
建設省の調査によると、イギリスの住宅寿命は75年、アメリカ44年、日本は26年だと掲載されていました。欧米に比べ、日本ではスクラップアンドビルドのサイクルが早いこと、様々な石油製品の新建材を使うため分別がむずかしいこと、リサイクルや解体工事に対する認識がきちんとできていないことが不法投棄の一因だと思います。
私たちは、不法投棄による環境破壊の被害者となりうると同時に、加害者になる可能性もあるということを忘れたくありません。
ローンの支払いが終わると資産価値がなくなり、解体され、リサイクル処理が困難な廃棄物になるような住まいではなく、「地球とともに生きている」という視点からも住まいを考えたいものです。

コンセプトを確立し、指示書を作成する仕事。

  • 家づくりを楽しむために -その28
コンセプトを確立し、指示書を作成する仕事。
税務の代理や税務書類の作成などをする税理士さん、傷病の診察・治療をするお医者さんの仕事など、お客さんの状況を知ってはじめて、その職能や経験をいかせる仕事があります。住宅の設計もそういう仕事だと思うのです。住まい手の家族構成や生活スタイル、要望をきちんと把握した上で、アイディアやノウハウを盛り込み、コンセプトを確立させる。そのコンセプトを現実にするための図面などを作成する・・・決して、住まい手と顔をあわせることなく、短期間のうちにできる仕事ではありません。それは、目に見えない最も重要な仕事なのです。

しかし、目に見えないものであるが故に、その大切さや価値をご理解いただくのが難しく、残念に思うことがしばしばあります。目に見えるものだけにとらわれず、成り立ちの基本となる考え方も大切にしていただきたいと思います。日本が大切にしてきた伝統、繊細さ、優美さ、人の手による美と自然との調和、季節の移ろいを楽しみ暮らす工夫・・・そんな良いところを見つめ直し、家づくりにいかしていきたいものです。

日本から発信する世界の言葉。

  • 家づくりを楽しむために -その27
日本から発信する世界の言葉。
先日、東京で開催された、講演会に参加する機会がありました。その中で、「まちづくり」という言葉は「カラオケ」や「寿司」「武士道」「もったいない」といった言葉と同様、外国語に直しても「matidukuri」と書く、日本の民間から世界に発信した言葉だということを改めて伺い、嬉しく思いました。
同時に、日本のどこかで、私達と変わらない立場の人たちが懸命に取り組んだ活動の「あり方」が、世界の言葉として取り上げられている事実を、とても誇らしくも思いました。
「『まちなみ』の美しさは、そこに住む住民の『志』の高さで決まる。」といいます。自分たちのルール、良識を持って、コミュニティーを大切にしながら、「自分たちの『まち』を自分たちの手で育んでいく活動」に参加していく。行政には、民間ではできないことをお願いする。そんな活動と時間の積み重ねが、住みやすく、魅力あふれる「まち」を形成していくのだと感じています。