木の家の建築家中村伸吾の建築設計事務所では和歌山の紀州材や自然素材を活かし無垢の材料で木造住宅を造っています。外断熱通気工法・土塗り壁・杉厚板の家などおまかせください
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日本住宅新聞2002年5月5日号
産経新聞2002年4月24日号
読売新聞2001年1月28日号
朝日新聞2001年1月23日号
メディア掲載記事 中村伸吾建築設計室
ウッディライフ 2004年6月号 No.107 特集「自然を上手に取り込む 夏涼しく冬暖かい家」より転載

ミカン山に家を建てる 独特の立地が形を決めた

田辺市郊外。海側の市街地から農村部へ。南高梅やミカンの木が植えられた山の、急勾配の坂道を車でどんどん登っていく。もう山頂近くでは?と思う頃、ミカン畑の中に大きな切妻屋根が現れた。西田邸だ。その眺望にしばし言葉を失う。目の前に広がる、雄大な山並みと田園風景のパノラマ。視界を遮る物は何もない、まさに特等席の場所に建っている。

家の中は広々としたリビングダイニングが中心。ここでまず目に飛び込んでくるのが南側一面の掃き出し窓だ。そのままデッキに続いているので、室内と外の景色との境界をまったく感じさせない。ロケーションを最大限に生かした、贅沢なまでの開放感に驚かされる。

周囲のミカン畑を含む土地は実家が所有する農地で、昨年、その一部を借りて家を建てることになった西田拓大さん。だが、当初、ご本人には具体的なビジョンは何もなかったという。

「新築の友人宅でシックハウス症候群を体験したので、自然素材の家がいいということ。あとは昔の農家みたいに家の真ん中に囲炉裏があって、家族がみんな集うような漠然としたイメージがあるだけでした。」

そんな時偶然紹介されたのが、地元の木材を使い、紀州の気候風土に適した家づくりを進めている中村さんだった。初めてこの場所に案内された日、彼の脳裏には、すぐにこの家の姿が浮かんできたそうだ。独特の立地ゆえの見晴らしの良さ、その一方で常に風にさらされるという条件。そこにふさわしいのは、風に逆らわず、共存する家だ。自然を受け入れ自然とともに暮らすスタイル。それは西田さんの想像を遙かに超えた形で実現することとなった。

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手前は北側の和室。ふだんはリビングダイニングと襖で仕切られている。襖と北側一面の掃き出し窓を開け放すと、家の南北に風が通り抜ける。
1階の天井近くには通風窓が並ぶ。張り出した屋根の内側なので、雨の日でも開けられ、梅雨の季節に重宝する。

この景色を毎日、映画のように眺められるのが幸せです ---------------------

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眺望を生かすため、最優先で実現された南側のウッドデッキ。8畳間以上の広さがある。かなり勾配のきつい斜面のため、「清水の舞台」のような格好に。デッキ下の空間は、薪を積み上げて乾燥させるスペースに。
風呂の外には坪庭を造る計画で塀を巡らしてある。視線だけを遮り風は通す、昔ながらの日本の家の知恵が生きている。

「最大の問題」風は逆らわず、受け入れる

この家の最大の特徴は、大きな切妻屋根の懐に包まれるように建物全体が構成されていること。屋根は長さ約17m、高さ約6m。斜面に沿った角度で、吹き上げる風を受け流す。また2階部分を屋根の中に造ることで、建物全体の高さを抑え、風圧を小さくすることができた。

風は東西南北すべての方向にあるいくつもの窓から調節して取り入れ、家の中には、風が無理なく通り抜けられるようさまざまな工夫がなされている。リビングダイニングと畳間の仕切りはすかしの入った引き戸、階段や吹き抜けを囲う手すりもシースルー。壁や建具の上部は「欄間」のように空気の通り道が確保されている。

「見た目にも開放的だし、いつも爽やかな自然の風に触れている感覚で、クーラーもいらない。空気の循環がいいので、冬は薪ストーブ一台で家中が暖まります」

外壁や屋根の内部には通気層が設けられており、目に見えないところで常時、空気が動いている。家全体が風を通し、呼吸して、快適な空間を保っているのだ。

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「家の中心に囲炉裏を」というイメージは薪ストーブになって実現。暖められた空気は対流により家中に広がる。
 
吹き抜けにより、2階とも一体感のある空間。「いつも家族の顔を見て、存在感を感じたい」という西田さんの希望が叶った。
 
天井には2機のファンが取り付けられている。夏、暑い空気は天窓から外へ排出できる。

自然の風に包まれて 子供がのびのびと育つ 優しい家になりました-------------

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家の完成とほぼ同時に誕生した娘の百萌日(ももか)ちゃん。床材はカラマツを使用した。
2階は「あらわし」の梁が走る屋根裏空間だが、まったく閉塞的ではない。ここでも天窓と通風窓で外気を確保できる。

木の力を実感できる「あらわし」構法を採用

この家を訪れる誰もが、玄関に一歩入って最初にほめるのが、木の香りだという。紀州は「木の国」。その恵みを感じられるのも、この家ならではだ。家の骨格をなす構造材は、地元の山で育った樹齢50年以上のスギやヒノキ。柱や梁、床、天井の木肌を見せる「あらわし」で用いている。これにより、木が空気に触れる面積が大きくなり、断熱、湿度調節といった特性が発揮され、視覚的にも優しい空間を作る。

「木の柔らかな肌触りは格別で、床は冬でもちっとも冷たくないし、暑い時にはさらっとしている。裸足でいるのが大好きになりました(笑)。大黒柱には子供の身長の記録を刻みたいし、これから長年住んでいくうちに、木の色に深みが増していくのも楽しみにしているんです」

自然な暮らしができる家は、機能性以上の喜びも与えてくれるのだ。西田さんはこの家に移り住んでから、テレビを見ることも、休みの日に出かけることも、ほとんどなくなったという。

「自分でも驚くほど、季節の変化に敏感になりました。たとえば天窓にのぞく月の位置や、家の中を通る風の方角…。以前よりずっと自然を身近に感じる毎日です」

環境に寄り添う暮らしは予想以上に心地いい。満足そうな笑顔がそう語っていた。

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吹きつける風を自然からの贈り物に変換

大屋根で強い風や雨をかわしながら、必要な風通しは十分に確保できる住まい。間仕切りを閉じても風の通り道があり、通気性、空気の対流に優れる。内部がひとつの大きな空間となっているため、自然の風や薪ストーブだけで全体を温度調節が可能。屋根、外壁は高温多湿な気候に適した外断熱通気工法(内部に通気層を持つ)。屋根は、軒下の吸気口から取り入れた空気が内部の通気層を通り、熱くなった空気が棟から排出される仕組みだ。

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